浪漫飛行 ブル8
壮大なる第3楽章のアダージョ、銀河系宇宙を彷徨いながら、あるいは漂いながら、最終章の第4楽章へと引き継がれます。この第3楽章の目くるめく陶酔の世界は、言葉で言い表すこと自体に恥じらいを覚える、未開の世界に包まれた気分です。そして、宇宙を旅したものでしか味わえない平安な気持ちにさせてくれます。でも宇宙を旅した人なんて、あまり近くにはいませんよね?
どんな気分なのか?
そうだ、地下に眠るガガーリンに聞いてみよう。
地上のけがれた部分を一蹴する神秘な世界が終わると、いよいよ最終章が建ち現れます。
第4楽章は、着陸地点の地球の位置を模索する、心の高揚から始まる。
しかし目的地はまだまだ遠い。太陽系は、遥か彼方だ。
わが地球はいったいどこだ?
第4楽章前半は、さまよい歩いている姿がうかがえる。
といったわけで、第4楽章はしばらくの間、太陽系の外と中を旅することになる。
地球のおぼろげなる姿が見え隠れする頃、いよいよ着陸へ向けての体制を整えることになる。
旅は終わってしまうのか?
浪漫飛行は着陸と同時に終わる。
第4楽章のフィナーレは、まさに地球への帰還その時である。
心の高揚に満たされた浪漫飛行とは、いったいどのようなものか?
そうだ、米米CLUBに聞いてみよう。
といった具合で、ブルックナー第8交響曲の後半を想像してみました。
チャイコの6番やマーラーの9番の終わりが、消え失せるような終焉なのに対して、ブル8の終わりは力強く、躍動する生命感に満ち溢れています。
Posted on 5月 27th, 2019 by admin
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