「京都ぎらい」の中の一小節
建築及び周辺領域での卓越した評論を展開する井上章一氏の京都論。
洛外から洛中を覗き見る熱い眼差し。その中の一小節。
「周知のように、イスラム世界では、いちずな宗教心がテロリズムをもたらしている。くらべれば、僧服で芸子とたわむれあえる京都の聖職者に、希望がもてなくもない。ああいうふうに、あそびほうけているあいだは、信仰がこわばることもないだろう。聖なる戦争へむかっていく、高邁な心のたかぶりも、みょうな言い方だが、おこるまい。
姫と坊主がなかよくいならぶ京都の光景に、いきどおるむきはいるだろう。しかし、それは信仰心ゆえのいさかいを、未然にふせぐヒントもしめしている。平和の目印として、国際社会へおおきくうったえかけてはどうか。
千日回峰行の偉業ばかりを、ありがたがってつたえずに。」
以上、本文86ページのまま
ますます京都を魅力的に思いたくなる一冊。そして、井上氏の正直な目線に共感が持てる。
Posted on 1月 11th, 2018 by admin
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