文京区千駄木にある旧安田楠雄邸の見学に行ってきました。大正8年に建てられた近代和風建築です。
豊島園の創始者の藤田好三郎が建て、旧安田財閥の創始者の安田善次郎の女婿、善四郎が大正12年に買い取り住んでいました。普請道楽として作られた粋な材料が、隅々までいきわたっています。建物はほぼ当時のまま残っていますが、周囲はマンションや現代建築に取り囲まれています。
本来なら多額の相続税によって、建物が残っていくというのはまれなことなのでしょうが、(財)日本ナショナルトラストへ寄贈することによって相続税を免れ、当時の面影をそのままにして生き続けています。市民のボランティアによって運営や管理、公開もされています。今日は公開日(水曜、土曜)で、ボランティアの方に各部屋ごとの建築の特徴、材料、住まい方などを説明していただきました。東西に細長い敷地なので、建物もそれに合わせて雁行しながら、庭との関係性や、風通しなど、うまく考えた設計になっています。実際、平成9年ごろまでエアコンを一切使わず住み継がれていたそうです。照明のスイッチなどは当時のままで、家具なども一部そのまま置かれています。
多くの一般庶民が住んでいた長屋とは違いますが、普請道楽の極みとして建てられたこのような建物を文化遺産として守っていくことの重要性を今更ながら感じました。最後に住まわれていた安田楠雄氏の奥様の幸子夫人の寄贈によって、守られ続けています。

2階の客間より応接室の方を見る

1階の客間より応接室を見る

応接室の広縁に置かれた当時のままの椅子とテーブル

当時の面影を残すアイランドキッチン。スカイライトも当時のまま。

2階の客間

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Posted on 9月 9th, 2009 by admin
Filed under: コラム