


2×4工法、4階建て実験棟です。
ツーバイフォー協会関係の写真を整理していまして、先日倒壊した木造軸組3階建て住宅実験棟のことを考えました。
建築構造が日進月歩であるとはいえ、構造計算をした長期優良住宅の仕様の方が倒壊してしまったことは、ひとえに接合部の問題であることがわかってきました。接合部、すなわち金物で木部を接合し、その部分の強度が計算どおりに働くであろうと予測されたわけですが、計算どおりに働かず、むしろルーズに取り付けた長期優良住宅でないほうが、倒壊を免れたわけです。
もともと日本の昔の住宅は金物など使わず、貫などで固定していました。貫ですから地震の時にはよく揺れますが、なかなか倒壊しません。変形して隙間が出たところで、もともと隙間だらけですから問題なかったわけです。昔の住宅を例えると、柳の木が風に吹かれてもポッキリ行かないのと基本的には同じです。ルーズに金物を取り付けた方はこの考え方に近かったため、倒壊を免れたのでしょう。剛構造に対して柔構造、これは理に適った考え方です。
しかしながら昔の家は設備も単純というかほとんどないですから、揺れて多少の変形をしても問題がなかったのですが、今の住宅は設備配管、空調配管、電気配線など壁の中が複雑に絡み合います。設備配管にもダメージの少ない工法を選択する必要が出てきます。さらに省エネルギー、エコロジーという考えが計画の前面に出てきますので、隙間だらけの木造であってはならないわけです。要するに地震時の「変形」を極力少なくすることが求められるのです。
これらの問題を解決する、とまではいかないにしてもより安全性が高く、地震時のダメージを少なくするために行っている2×4工法の4階建て実験棟は、いろいろな意味で木造の高層化に役立つ実験であると思います。3階建て以上の木造住宅は、2×4工法を採用し計画するようにしています。
今日は風が強い日でした。工事中の現場では足場がかなり揺れていました。足場は「ピン接合」ですから木造軸組み工法にかなり近い構造です。足場の2×4工法も出てくるような気がします。

Posted on 12月 7th, 2009 by admin
Filed under: 2×4