「彼」とは年に数回会って、一杯やっています。
昨日は例のごとくアキバの焼き鳥屋で、7時くらいから終電近くまで雑談をしていました。彼は仕事仲間であり、16年前に設計したオーナーであり、友人でもあります。
彼は難関とされる大学の経済学部を出ており、金融、世界経済、政治、歴史、不動産、貨幣、国家、資源など多岐に渡る知識と情報を僕に与えてくれます。普段話している建築関係の方々とは目線がまったく違い、その意味でも新鮮さをもって、いつも聞き役になっています。 (まあこちらはそっちの方は疎いので)
彼は一流企業の営業マンであるゆえ建築関係特有の土臭さはまったくなく、かといって我々設計関係に従事しているものの特徴とされる、一見難しそうな顔をしていても実はたいしたこと言っていないのとも違い、論題からその問題点とされる的を絞り込み、一直線に展開する論理の整合性をきわめてスマートに、緻密に、そして上品に、あるときは少し下品に語りかけてくれます。夜の酒場ではこの下品さもきわめて重要です。
こちらからすると高い授業料を払わず、一杯ご馳走するだけですから安上がり、というわけです。巷にわんさか溢れている、的外れな経済本など読むよりとてもリーズナブルです。堺屋太一さんだけは好きなので時々読んでいますが・・・・・。
昨日は 「投資」 の話になり、ベトナムが熱いみたいですね。( ホーチミンは年がら年中暑いですけどね) 考えれば、日本が大戦後の混沌とした状況から抜け出し 「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」 になるまでの状況空間は、まさしくこれからのベトナムですかね。
勤勉さは日本人と変わりませんから。
長細い地形も日本に似ていますし。
利根川に対するはメコン川ですし。
中部 (フエあたり) 以北は四季がありますし。
「食」 は日本人好みですし。
体型も似ていますし。
森林も多く残されていますし。
魚介類が豊富に獲れる。
ただ決定的に違うところは 依然として 「社会主義であること」 と、日本は戦争に負けたけれどベトナム戦争では 「ベトナムは負けてはいない」 ということの2点です。ただベトナム戦争は米ソの代理戦争のようなもので、国土を粉々にされてしまったベトナムからすれば、とんだとばっちりを受けただけのことです。
今、ずるずると落ちて行くこの日本の状況空間に身を置きながらも、目線と懐をベトナムに・・・というのが彼の考えのようです。
僕の方は目線を 「現場」 から 「世界空間」 に向けることができた一夜でした。
Posted on 1月 16th, 2010 by admin
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